誤解が生じやすい場面緘黙症
場面緘黙症と言っても、症状の度合いや現れ方が人によって違います。
また、まだまだ認知されていない事も多いため誤解が生まれやすいです。
このページでは、特に誤解されやすいことを書いてみました。
誤解①ただ大人しいだけ
場面緘黙症の子供は、性格が大人しいだけだと周囲に思われてしまう事があります。
特に、症状が比較的軽めの子は特に、こういう大人しい性格なんだと誤解されがちでだと思われます。
実際私の場合は、小学校でどうしても発言しなければならない状況の時は、かろうじて小さい声で発表は出来ました。
全く話せないわけではなかったので、大人しいだけと思われていたのでしょう。
母親同士の会話で、「あなたの子は大人しい良い子だね。うちの子はうるさくてどうしようもないよ~」と言われている事がありました。
母が何と返したのか覚えていませんが、私は複雑な気持ちにでした。
どこへ行っても「大人しい」「大人しい」と言われる事に違和感を感じていたのを覚えています。
誤解②大人になれば話せるようになる
今はあまり話せないけれど、成長して大人になれば話せるようになると思われることもあります。
そのため、特に何も支援されずに大人になるケースも多いと思われます。
私自身、大人になれば話せるようになると思い込んでいましたが、症状が軽くなっただけで思うように話せない日々が続きました。
場面緘黙症でも支援されずに大人になった方、多いのではないでしょうか?
誤解③わざと喋らない
喋りたくても声が出せないのに、この子はわざと喋らない、反抗的だと思われてしまう事があります。
私も小学生の頃は、首を縦に振ってうなずいたりして返事を返すことをよくしていましたが、口があるんだから喋りなさいと言われたことがあります。
これは本人としてはかなりキツイ言葉なので、絶対言わない方が良いです。
場合によっては症状を悪化させる恐れもあります。
誤解④親のしつけの問題
挨拶が出来なかったり、受け答えがままならないとなると、しつけがなっていない!と思われる方も居るでしょう。
でも、本人は挨拶したくても声を出せないだけなのです。
親のしつけや育て方で場面緘黙症を発症するのではありません。
過保護だと言われることがあるそうですが、これは古い研究にもとづいた誤解です。
誤解⑤話せるように練習させた方が良い
練習を積めば話せるようになると思われがちですが、これはケースバイケースだと私は考えています。
話さなければいけないというプレッシャーをかけてしまうと、かえって症状が悪化する恐れがあります。
なので、安易に練習させようとするのは辞めましょう。
私も、話さないといけないと思わされる場面になると、体が動かせなくなり、余計に声が出せない状況に陥っていました。
話せない事ばかりに着目せず、プレッシャーをかけない等の対応が必要です。
誤解⑥喋らないだけで学校では問題ない
学校で先生達を困らせるのって、いつの時代も騒ぎたてるようなやんちゃな子が多いのではないでしょうか?
場面緘黙症の子は、大人しくて行動も抑制されている事が多いです。
そのため学校で問題を起こすことは極めて稀、学校側では困らないことが多いので、本人が困っていても見落とされがちです。
私の場合は、特に学校からの支援はありませんでしたし、大人しいだけで特に問題ないと思われていたようでした。
誤解⑦友達と話しているから場面緘黙症ではない
場面緘黙症の症状の程度にもよりますが、親しい友人や先生となら会話できる子も居ます。
発表の時だけや、返事だけならできる子も居ます。
学校で全く話せない子だけが場面緘黙症だと思われてしまうことがありますが、その子にとって話せる条件が整えば発話できることだってあります。
学校だと条件が整う事は少ないかもしれませんが、私の場合は緊張やプレッシャーを感じない時、学校でも仲の良い友人と話すことが出来ました。
私が友人と話しているのを聞いたことがないクラスメイトも居たので、「わっ!喋った!」と驚かれることもありました。
多くの方に理解して頂きたいです
場面緘黙症の子供は、困っていても自分から周囲に助けを求めることが難しく、悩みを抱えていることが多いです。
症状が重くても、周囲の大人が場面緘黙症について知らなければ、支援が遅れてしまいます。
また、大人しい性格なだけと思われがちな症状が軽い子の場合も、放置されて支援が遅れるケースがあります。
この位なら大丈夫だと決めつけたりせず、周囲の大人が気付いて適切に理解・支援することが大切です。
ぜひ多くの方に、場面緘黙症という不安障害がある事を知って理解して頂きたいと思います。
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